女性と母の狭間で//

先日、10歳の男の子、4歳の女の子を持つママのカウンセリングをした。

彼女はピアニストで、芸術家らしい繊細な心を持っているかわいい女性。

ピアノを弾いている時が一番自分らしいと知っていて、演奏に精魂すべてを注ぎ込んでしまうため、結婚し子供が生まれてから約10年間、身を切る思いでピアノを諦めていたと言う。

 

女性は、おそらく男性よりも、人生でいくつもの分かれ道に立ち止まり、『選択』を余儀なくされることが多い。

 

結婚、出産、家庭、仕事。。

女性として、妻として、母として、嫁として、娘として、一人の人間として。。

「やらなくてはならないこと」がどんどん増えてくる。

様々な動かすことのできない状況の中で、辛い決断をしなければならないことがある。

 

 

このママの場合、育児に費やした10年間は、ピアノを辞めた=犠牲という意識、昔から唯一の自己表現でありストレス解消手段でもあったピアノに向かえない日々、そして初めての育児に翻弄され。。

精神的にもバランスを失い、心が壊れ始め、ノイローゼに苦しんだと話す。

 

今年に入って、下の女の子がようやく幼稚園に入ることが決まり、少しづつピアノを弾く仕事を始めた。

長いブランクへの不安と焦燥、育児との両立、そして何より10年間に渡る精神的なダメージが、まだ彼女の本来の姿を覆い隠しているように見えた。

ピアノ演奏も聴いた。

アーティストは辛い仕事。

自己の精神状態やその日の気分、思いが、拡大されて、演奏や表現するものに露呈されてしまうような気がする。

彼女のピアノは、固く、ネガティブで、泣いているような音を奏でていた。

 

彼女といくら話しても、子供への愛情が伝わってこなかったのが、とても気になった。

好きなことを強制的に押し込めて子供と向き合ったことが、育児への楽しさも奪ってしまったのだと思う。今、彼女はピアノの仕事をすることで育児から逃げる口実ができ、それを子供も察していて親子関係がギクシャクしている。。

彼女は、「仕事が休みで、家に子供といるとすごく疲れるようになってしまったんです。育児が一番苦痛で、これを我慢できれば外のどんなことも我慢できるような気がします」とさらりと言っていた。

 

子供はママが仕事復帰して好きなことを始めて、見たことのない生き生きとした顔をしているのを一番近くで見ている。

ただ、彼女の場合、子供たちは、ニコニコ笑顔で仕事に出るママを、どんな気持ちで見送っているのだろう。そのままでいいのだろうか。。と、お話を伺っていて、不安材料は山のように残った。

女性が仕事をして、夢を形にすることは大賛成。

ただ、一番大切なところを忘れてしまうと取り返しのつかないことになってしまう気がする。

女性と母の狭間で、辛い決断、大変な日々を送っている方はたくさんいると思う。

でもね、忘れないで欲しい。

育児は辛いものではない。

我慢してすることでもない。

仕事や夢と比べるものでもない。

 

母親業は、

完璧を目指す仕事ではないし、

評価や見返りを期待するものでもないし、

ただ楽しむもの。

 

愛情をたくさん伝えて、家族や子供との時間を心から楽しむために、

誰かに助けてもらったり、

カウンセリングを利用して、

メンタル的なオーガナイズ、タイムマネージメントの能力を高め、

自分の心を豊かに維持していくことが重要である。

 

彼女の同意をいただき、一部彼女の状況を書いた。

同じ状況で不安になっているワーキングママたちへのメッセージになってくれれば、と思う。

 

仕事復帰したばかりのこの彼女、今必死でもがいている。

10年間の子供の心、彼女の気持ちがこれ以上悲しいものにならないように、

これから彼女がママならではの優しい音色を奏でられるようになるまで、

しばらく彼女を見守っていきたいと思っている。

大丈夫♡

 

RIKA